ワインの産地で有名なフランスの地方都市マコンでの日本酒の評価は?KURA MASTERの審査員へインタビューしました。
広島の酒[投稿日]2021年01月14日 / [最終更新日]2021/03/22
KURA MASTER審査員でもあり、日本レストランAZUKIと日本食材店Autour du Yuzu を経営するDAVIDさんに日本酒のフランス市場での可能性について伺いました。
David Bernard :日本酒ソムリエ
リヨンにてホテル経営を学ぶ、現在は(ワインの産地としても有名なブルゴーニュ地方の地方都市)、マコンにて、レストランAZUKIと食材店Autour du Yuzu を経営、KURA MASTER審査員。日本酒に情熱を注いでいる。
– フランスでの日本酒のマーケットはどう思いますか?
ここ4年は、大きな発展を見せていると思います。少し前まではニッチなマーケットでしたがフランスのシェフのおかげでマーケットが拡大しています。
例えば私どものレストランでは“saké”をアジア系のレストランで食後に飲むような強い食後酒*と混同するお客様はほとんどいません。レストランのディナーの際も、お店でのお酒選びの際も日本酒を信頼、紹介させていただくことができていますし、購入もしてくださります。
*フランスではよくsakéという名前で中華・アジア料理店での最後にサービスとしてアルコール度数の高い蒸留酒が出されており、フランスにおけるsakéの典型的なイメージがありました。
– 多くのお酒がある中で広島の日本酒についてはどう思われますか?
難しい質問ですね。なぜなら日本にはブルゴーニュの南に位置するマコンのぶどうのワインというような、酒好きの人たちが関連づけるテロワールの考え方がないからです。
しかしながら、広島は他の地方にないメリットがあります。つまりここには多くの人がある種の感情や共感を持って知っている特別な地であります。そこに関連する感性を洗練された日本酒と結びつけるこ
とができます。
– セレクトされた広島の日本酒に関していくつかお話しをしていただけますか?
私は盛川酒造の白鴻が好きです。綺麗な青いボトルには杉の木片が付いています。グラスの中でその木片で日本酒を軽く混ぜることで、木の香りと味にまろやかさが生まれます。私はこれを牛丼や、鴨料理と合わせることをおすすめします。これは本当に魔法のようです。また、中尾醸造の誠鏡 まぼろしも好きなお酒の一つです。竹林に足を踏み入れたような印象を与える、植物性でとても新鮮な一面があります。 ワインにはない芳しい香りがあるので、少し混乱するかもしれませんが、これを蒸し焼きにし火を通した魚介と合わせるのがいいでしょう。
賀茂鶴の日本酒は、より伝統的ではありますが、日本酒には興味があるけれど、まだそこまで詳しくないという方々にも分かりやすいものです。どの温度でも飲めますからね。いろいろな機能を持っていていつでも便利という意味で、広島の酒の中での “スイスナイフ”のようなものかもしれませんね。そのほかにも10種類以上の広島のお日本酒を取り扱っています。
*スイスナイフとは、機能が多く便利なナイフです。。
– 広島の日本酒をどのように知りましたか?
盛川酒造の白鴻が最初に知った日本酒でしたが、蔵マスターのプレスをしているペコンともこさんが広島の代表団と一緒にマコンを訪問された時に他のお酒についても知ることができ、広島に対して強い繋がりを持つことが出来ました。また2019年の3月ちょうどロックダウン直前に広島の酒蔵を訪問しましたがまさに酒蔵こそが私にとっての日本酒への目覚めでした。
– お客様に日本酒を提供する時、どんなことをお話されるのですか?
端的に酒蔵の歴史を話します。そのほかには米の種類や逸話など、一つか二つの情報を伝えますが、それ以上は伝えません。学ぶのではなく、まずは楽しみであるべきだと思うからです。お客様が我々のレストランを出た時に、ほんの短い間でも日本の文化にひたり、旅をした感覚を持ってもらえれば良いなと思います。
それが我々の特徴であり。それが本物の日本酒です。もちろんワインも提供してますが日本酒により比重をかけています。すくなくとも、味を知ってもらうようにしています。まだ一部の方々は、強いアルコールと思っている方もいます。お客様の頭から蒸留酒のイメージを完全に除くために(ライスワイン)と説明することもあります。
– 将来フランスでは日本酒はどのように発展すると考えますか?
私はかなりポジティブに考えています。時間が経つほどに、我々が日本酒のことを伝える必要はなくなってきます。より日本酒が身近なものになってくるでしょう。大きな流通網ができてフランスにもたくさんの日本酒が入ってくるようになることもありえます。
ここ4年で私どものレストランでは日本酒の売り上げが200%増になりました。これは実にワインの4倍販売しているということになるんです。これは本当に嬉しいことです。
Restaurant AZUKI
24 Rue de Lyon, 71000 Mâcon
https://www.restaurant-azuki.fr/
Epicerie fine japonaise
Autour du Yuzu
97 rue Dombey 71000 Mâcon
https://www.autour-du-yuzu.fr/
RECOMMEND
-
- お知らせ
- 広島食道
【第二弾】広島県立油木高校×ホテル広島ガーデンパレスのコラボレーション
料理人コンクール実行委員会(事務局:広島県商工労働局観光課内)が主催した第6回料理人コンクールの成績優秀者(渡辺歩さん)…
2022.04.26
-
- 初めての日本酒
- 広島の酒
- 広島の酒コラム
日本酒は加熱して味わう、燗酒(かんざけ)の楽しみ方
日本酒は温めても冷やしても美味しく飲める、飲用適温が幅広いお酒です。燗酒(かんざけ)は平安時代に公家の間でお酒を温めて…
2020.07.08
-
- かき養殖のプロフェッショナル
- 牡蠣
マルコ水産 有限会社
私たちは生産者として、素材や品質を大切にし、自分の目で見て納得のいくものを皆さんにお届けしていきたいと思っています。私…
2023.02.08
-
- 広島の日本酒について
- 広島の酒
- 広島の酒コラム
広島県最南端にある倉橋島の蔵。 一人の杜氏が四季醸造で日本酒を醸す林酒造
呉市内から車を走らせること30分。音戸大橋を渡って倉橋島へ向かいます。日本の渚百選にも選ばれた桂浜を通り抜けた先にある…
2020.12.17